すみえのいろいろ日記

本来自分の好きな音楽を語るブログとして開設しました。これからは占星術を中心により幅広いトピックについて色々と書いてみようと思います

私たちは作品の何に「喰らう」のか

こんにちは。

 

記事を書き始めたものの、上手くまとまらず下書き保存にしたり、本や映画に集中している時期があったりして、更新が滞っていました。

 

今日は特定の作品についてではなく、音楽およびその他広い意味での芸術作品全般に関して書いていこうと思います。

 

テーマは、『私たちは作品の何に「喰らう」のか』です。

 

今までの人生の中で、私も皆さんも何度もあらゆる作品に「喰らった」経験があると思います。

また、自分自身が何らかの作品を作っている人であれば、どうしたら人が喰らう作品を作ることができるのかと一度は考えたことがあると思います。

 

皆さんなりの解釈や正解があると思いますが、今日は私の仮説を説明しようと思います。

 

ズバリ、私たちは優れた作品の裏にある"時間"に喰らっているのだと、私は考えます。

 

例えば音楽であれば、アーティストが楽曲を作るまでには、様々な楽曲に触れたり、心を動かされ考えるきっかけとなった経験をしたり、楽曲の構想を練ったりする時間があると思います。

それから実際に制作を行う時間があり、場合によっては制作が完了してからそれが世にリリースされるまでにもさらに時間がかかることもあります。

(制作も例えばラッパーとトラックメイカーが別々に自分のパートを制作する場合、単純計算でその作品の裏に存在する時間は2倍になります)

 

もちろん人によっては構想の時間が極端に少なかったり、制作をスピーディーに行う人もいると思いますが、全く時間をかけることなくでこれを実施するのは不可能です。

一般に多く出回っている楽曲は2,3分のものから、長くても7分程度だと思いますが、それが完成するまでには楽曲そのものの何倍もの時間がかかっていることがわかります。

 

で、これが私たちに「喰らう」という経験をもたらすのではないか?と私は踏んでいます。

もちろん長く時間がかかって作られたものであればより喰らい方が強くなるといった単純な話ではないと思いますが、長く積み上げたもの(アーティストが必ずしも自覚的に積み上げたものでなくても、時間は積み上がるもの)が、いやでも作品に現れる、といったほうが正しいかもしれません。

 

さらにいうと、単純にキャリアが長いアーティストの方が、新米より良い作品を作る、という話ですらないと思っています。アーティストとしてのキャリアが短くても、キャリアをスタートするまでの経験や、音楽・その他の素地が作品に反映されると思うからです。(もちろん、制作というプロセスに対する慣れ不慣れで作品のクオリティが変化することはあると思いますが、スーパーハイクオリティでも全く刺さらない作品だってあると思うのです。)

 

と、ここまでベラベラと持論を展開していますが、私自身もこの記事を書くに至るまでに経たプロセス・時間があります。

 

www.seidosha.co.jp

 

私と仲のいい人は、あんたまたその話かい、と呆れ顔かもしれませんが、上記は私が最近読んだ本で、題名の通り、時間に関する哲学書になります。

 

この本を読んであまりに「喰らった」ものですから、私もすっかり世界を認識するベースとして時間を無視することができなくなってしまいました。

でも、この本を読破した人はきっとみんなそうなると思います。そのくらい説得力のある内容でしたので、音楽の話をするブログですが、この本は強くお勧めしたいです。

 

で、気持ち本題に戻ると、このブログ記事を「作品」とみなすと(そんな仰々しいものではないですが)、私がこれを書くまでには、何となーく、時間って世界の真理を探究する上で欠かせない要素だよなと考えていた時間、平井さんがこの本を書いた時間、ぼんやりツイッターを眺めてこの本に出会い買うために本屋に出向いた時間、本を読んだ時間、いろんな音楽を聴いた時間、記事を書き出す前にざっくり書きたいことを考える時間、などが裏に存在するわけです。

 

これは、音楽や私の記事だけではなく、映画、本、料理、その他世界に存在するありとあらゆる形での創作活動に共通して言えることなのではないかと思います。

 

作品が完成するまでの「裏の時間」の間に具体的に何が起こっているのか、製作者が何を考え何を行うかはもちろん作品の数だけのバリエーションがあると思いますし、そこに製作者のセンスが出るのでしょうが、そのセンスですら、製作者が今まで製作に対して意識を向け、自分なりの考え方を構築した時間によって作り上げられているのでは、と思ってしまいます。(本に毒されてるかな?)

 

一応、「じゃあ最初からセンスでやってる人は?」というありそうなコメントに先回りして返答してみると、どんなにセンスがいい人でも音楽を聞いたことない人が音楽を作ることはまず考えにくい、というのが私の考え方です。

 

同じことに気づいたり、できるようになるのにかかる時間は千差万別で、これにかかる時間が短い人のことを俗に「センスが良い」と表現しますし、この個人差の存在は私も感じますが、どんなにセンスの鋭い人でも、自分が音楽を作る以外の時間も何らかの形で音楽を聴いていると思いますし、さらに言えば音楽という形でなくても生きている限りは何かを感じたり考えたりするはずで、その時間が作品に映し出されるのではないか、と思います。

 

 

ということで、長々と書いてみましたが、皆さんいかがお考えでしょうか?

まあとにかく、ご紹介した本が最高にエキサイティングだったので、本も好きな方はぜひご一読下さい!